被相続人が務めていた会社から死亡にともない支給される死亡退職金は誰のもので、遺産分割の対象となる相続財産なのでしょうか?死亡退職金は役職や勤続年数によっては多額になり争いのもとにもなります。ここでは死亡退職金の民法と相続税法の取り扱いについてご説明していきます。
死亡退職金は民法上の相続財産になるのか
ポイントは、支給する会社の退職金規定等(以下「規定等」という。)の内容です。規定等に受取人が記載されていれば、受取人の固有の財産となります。そのため遺産分割の対象となりませんので遺産分割協議書に記載する必要はありませんし、相続放棄をした人でも受け取ることが可能です。
規定等に受取人の定めがない場合には遺産分割の対象となり、遺産分割協議によって決めた相続人が受け取ることになります。遺産分割協議の詳細はこちらをご覧ください
一般的な退職金規程では、労働基準法施行規則42条から45条の規定に準ずるという表現が多いようです。そのような場合には、死亡退職金の受取人の順位は、以下のようになります。 第1順位:労働者の配偶者(事実婚含む) 第2順位:労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた労働者の子ども、 父母、孫、祖父母 第3順位:第2順位に該当しない労働者の子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
死亡退職金と相続税
民法上は相続財産ではない場合でも、被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定したもので、下記の非課税枠を超えた金額は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
非課税枠=500万円×法定相続人の人数 ※法定相続人には相続放棄した人も含みます。 ※養子の場合は、被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで人数計算できます ※相続放棄や相続権を失った人(相続欠格・相続排除)が受け取った死亡退職金には非課税枠の適用はありません。 ※似たような制度で「死亡保険金の非課税枠」がありますが、2つの非課税枠は併用が可能です。
なお、あまり事例はないと思いますが、被相続人の死亡後3年を経過した後に支給額が確定したものは支払いを受けた相続人等の所得税(一時所得)の課税対象となります。