【民法改正】行方不明者と不動産共有に関する制度

相続と不動産のトピックスアイキャッチ

相続人に行方不明の人がいるという相談をたまに受けます。令和5年4月施行の民法改正でも行方不明と共有についての変更(新設)がありました。行方不明者のいる不動産の相続に関して使い勝手は格段に良くなったと思いますのでご紹介します。

相続時に検討する行方不明者に関する民法の制度

 改正前から相続時に検討する行方不明者に関する民法の制度は次の2つがあります。
不在者財産管理人の申立て(民法25条)を行い、行方不明者の代理人になってもらい遺産分割協議に参加してもらう。
失踪宣告の申立て(民法30条)を行うことにより死亡したものとみなされ、行方不明者が遺産分割協議に参加する必要がなくなる。

相続人が行方不明でも相続登記はできる場合があります

 次の場合は前述の行方不明者に関する申立てを行わず、遺産分割協議を行わなくても相続登記はできます。ただし共有になってしまうリスクはあります。   
 ①遺言書がある場合
 ②法定相続分で分割し共有名義で相続登記をする

民法改正による行方不明者がいる共有に関する制度

 共有となっている不動産は、売却・賃貸・大規模修理などにおいて思うように実施できないことが問題となります。行方不明者がいるとなおのことです。令和5年4月施行の民法改正ではこの辺が現実に即した下記内容になりました。

処分(売却、解体など)
①行方不明共有者の持分を他の共有者が買い取りできる制度(裁判所への請求)(262条の2)
②第三者に行方不明者の持分を売却できる制度(裁判所への請求)(262条の3)
ただし、相続した不動産の場合は、相続開始の時から10年間は上記制度は利用できません。
なお、共有物の処分は共有者全員の同意が必要です(判例)

変更(増改築、用途変更など)
各共有者は、ほかの共有者の同意(全員)を得なければ共有物に変更を加えることができない(251条1項)
行方不明者以外の共有者の同意によって変更を決められるようにする制度(裁判所への請求)(251条2項)

管理(利用、改装など)
行方不明者共有者または賛否不明共有者以外の共有者の持分の価格の過半数で、管理を決められるようにする制度(裁判所への請求)(252条2項1号・2号)

賃貸借契約は、管理(利用)の形態ですが、下記契約期間を超えると処分となりますので注意してください。(252条4項)
① 樹木の栽培・伐採を目的とする山林の賃借権…10年
② ①以外の土地の賃貸借…5年
③ 建物賃借権…3年
④ 動産の賃借権…6カ月

遺言を書いておこう

行方不明者がいる相続は民法が改正されたといっても面倒な手続きが目白押しです。相続人に行方不明者がいる場合は必ず遺言を書いておいてください。

~本記事をご覧いただくにあたっての注意事項~
  • 執筆日以降の法改正等により記載内容に誤りが生じる場合があります。当事務所は、本記事の内容の正確性についていかなる保証もしません。万一、本記事のご利用により損害が発生した場合においても、当事務所は一切の責任を負いません。
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  • 本記事は一般的な制度のご説明です。閲覧者様の状況により最適解は異なります。税金や争いに関する疑問は必ず税理士や弁護士に個別の相談をしてください。
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