Ⅰ5⑦寄与分と特別寄与料

相続の基礎知識 相続の基礎知識

 寄与分と特別寄与料。どちらも被相続人の財産に関する貢献(増やしたり減らさなかったりした行為)に対して主張できる制度で、寄与分は相続人、特物寄与料は法定相続人以外の親族のためのものです。

寄与分

寄与分の代表例

  1. 被相続人の事業に関する労務の提供
  2. 被相続人の事業に関する財産上の給付
  3. 被相続人の療養看護
  4. その他の財産上の給付(例:被相続人の建物建築に関し、資金の一部を負担した)

寄与分の決め方と期限

 寄与分の額は、寄与者が根拠を示して相続人全員の協議で決めます。協議が成立しない場合は、家庭裁判所に寄与分の調停を申し立てることになります。なお、被相続人の死亡後10年が経過すると寄与分を考慮した遺産分割が出来なくなります。

寄与分に関する注意事項

①親子間や夫婦間での通常の療養看護は、特別な寄与とは言えません。
②対価を受けずに長期間継続しているなどの考慮要素がありますが、認められにくい制度です。
②相続人以外には寄与分はありません。たとえば、長男の妻が義父の特別に大変な療養看護をしていた場合でも、妻には寄与分は認められません。この場合は、夫の寄与分として協議するか、一定の要件の下で相続人に対して金銭請求をすることができます(下記特別寄与料参照)。

特別寄与料

 母親と息子夫婦が同居しており、息子の妻が義理の母親の介護を行っていたという場合は特別寄与料の制度を利用します。特別寄与料は、相続人にお金の請求ができる制度なので遺産分割協議に加わるわけではありません。特別寄与料を受けた者は、遺贈を受けたものとみなされ相続税がかかります(相続人ではないので2割加算になります)。

特別寄与料の要件

要件①
 被相続人の親族であること(相続人および相続放棄者等で相続権を失った者を除く)
 ※親族とは:被相続人の配偶者、6親等以内の血族、3親等以内の姻族 
 ※親族以外の者や内縁の妻は特別の寄与をしていたとしても対象にはならない
要件②
 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持または増加について特別な寄与をしたことが証明できる事
 ※被相続人の介護または被相続人の行っていた事業の手伝いなどを無償で行うことになります。介護について謝礼金、事業について給与を受けているときは対象になりません。

特別寄与料の決め方と期限

 要件を満たし、相続人と協議して決定すれば、相続人に請求できます。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所へ調停申立てをします。
 相続の開始及び相続人を知った時から6ケ月を経過するか、相続開始時から1年を経過したときは請求できなくなります。

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  • 執筆日以降の法改正等により記載内容に誤りが生じる場合があります。当事務所は、本記事の内容の正確性についていかなる保証もしません。万一、本記事のご利用により損害が発生した場合においても、当事務所は一切の責任を負いません。
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